工事・現場の特徴
交通への支障や環境負荷低減のため
プレキャストセグメントを採用
本工事は、橋体にプレキャストセグメント桁が採用されているのが特徴です。採用理由としては極端な橋梁線形(縦断・横断)変化がなくストレートな形状(直線橋)である点。さらに工事現場が市街地であるため、交通への支障を最小限に抑えること、周辺の環境負荷軽減に有利であるということからプレキャストセグメントが採用されたと考えられます。
「大規模工事でしかも各径間を同時に工事するため、大量のプレキャストセグメントが必要になります。まずはピー・エス・コンクリートと事前に打合せを行い、製造能力・設備や工場の広さなどを検討し、同社の兵庫工場で一貫生産することに決定。当社の職員も工場に常駐し、ピー・エス・コンクリートの担当者とともに工程や品質管理に従事してもらいました」。(稲田所長)
また、工場でのプレキャストセグメントの製作方法はロングラインマッチキャスト方式を採用。この方式は、1径間または1/2径間分の固定式製作台を用意し、型枠を移動させながら全てのセグメントを連続的に製作できるため(下図)、既設セグメントを移動させながら製作するショートライン方式に比べて、張出架設工法に対する形状管理が容易であるというメリットがあります。こうして合計882個という膨大なプレキャストセグメントの供給体制を整えることができました。

片持張出架設と固定支保工
2つの架設工法
本工事では2つの架設工法を採用しています。まず、メインとなるのが大型トラッククレーンによる片持張出架設です。新名神高速道路の両サイドには国道24号とその拡幅工事が行われていますが、施工ヤードが確保できる場所については、220tと550t吊の大型トラッククレーンを配置し、片持張出工法により架設していきました。
「各径間の工事を同時進行で進めなければならないので、管理する現場は自然と広範囲に及びます。そこで各径間に担当者を配置し、私は全体の工期計画から工期・品質管理に当たりました。特に気を付けたのは徹底した現場の巡視です。午前と午後それぞれ各現場を回り、不具合が出ていないかをチェックしました。また、本現場には若手職員も多いので、わからないことがあれば気軽に聞ける雰囲気を作り、手戻りが起こらないように配慮しました」と語るのは副所長の菅原将之さんです。そんな日々の地道な巡視のおかげで大きなトラブルもなく順調に工事が進んでいます。
もうひとつの架設工法が固定支保工によるスパンバイスパン架設です。本架設工法を採用した径間の橋梁構造は、他の径間がラーメン構造であるのに対して、支承を有する構造であったため架設工法を変更した経緯があります。片持張出架設工法を行うには、橋脚に仮支承を設けて固定するなどの事前工事が伴うことや仮支承の設置が困難な橋脚であるため、固定支保工によるスパンバイスパン架設を採用して工事を進めました。
「固定支保工は、上下線での支保工一括横取り施工とすることで、作業の合理化・省力化を図り、桁下の作業空間はセグメントの架設・接合作業に対して、適度な高さ・広さとなるように支保工形状を工夫しました。柱頭部支保工は作業動線を優先に考え、上下線同時施工形式とし、さらに柱頭部支保工を利用し、基準セグメントの設置まで施工しました。拡幅床版支保工は、支保工支柱を極力減らすために、支保工支間長を長くすることが可能であるトラス梁材(HSトラス)を採用しています」と語るのは、全体の工程管理とともに支保工計画を担当した鈴木拓朗さんです。鈴木さんは、隣接する国道24号を管理する国交省やJR奈良線を管轄するJR西日本、さらには京都府との定例会議にも担当者として出席。施工ヤードの調整から工程に関する情報共有などを図っています。














密接なコミュニケーションを図り
各職員が協力して工事に臨む
また、本現場の特徴の一つに職員・協力会社間の密接なコミュニケーションがあります。工事も広範囲にわたり、多くの職員や協力会社の方々が働いているため情報共有の徹底や協力体制の構築は、安全で品質の高い工事をするための必須条件です。そのため職員は自分の役割を果たしながら工程の遵守、より安全で高い品質の施工のために全力で臨んでいます。
「私の担当は排水装置工などの付属物の施工管理や外ケーブル工における施工後の外観検査である被覆層のピンホール検査です。これまで大規模修繕の現場などを経験してきましたが、新設工事は当現場が初めてとなります。大規模修繕でも付属物工事は担当していましたが、外ケーブル工の外観検査については初めての経験ですから学ぶことばかりです。しかし、何もないところから高速道路が出来上がっていく工事に携われるのは、大きなやりがいに繋がっています」と語るのは2024年4月から本現場に異動になった谷本晃一さんです。
そして若手社員として活躍しているのが2020年入社の鳥山佳宏さんと、2021年入社の田崎凱さんです。
「担当しているのは資材発注、現場の測量、墨出し、拡幅床版部分のコンクリート打設などです。経験現場としては2件目ですから覚えなければいけないことが山積みですが、仕事で一番気を付けているのは手戻りがないようにすることです。そのため協力会社の職人さんに作業を依頼する時は、見間違いによる不具合を防止するために施工図を拡大して寸法を見やすくしたり、作業に使用する資材の必要数量の明記、各作業の完了目標日などを追加で記入した図面を渡して情報共有を行っています」と、工夫をすることで小さなミスがなくなるのはもちろん、施工図づくりを通して学ぶことが多いと鳥山さんは笑顔で語ります。一方、田崎さんは入社4年目ですが新設工事は本現場が初めての経験です。
「鳥山さんと同様に測量、墨出し、出来形管理などを行っています。初めは何から手をつければいいのかさえわからない状態でしたが、少しずつ任される仕事が増えてきていて、そのこと自体がやりがいに繋がっています。また、この現場は所長はじめ先輩方が話しやすい雰囲気を作ってくださっているので、質問しやすく成長できる環境だと感じています」。
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